アグリビジネス×改正種苗法
2020年12月2日、参議院本会議で改正種苗法が可決、成立しました。
日本のブランド作物などの種や苗木が海外流出するのを防ぐのが主な狙いです。
日本の農業界ではかなり話題になっています。
そこで、改正種苗法について、3回に分けて解説してみます。
1回目は、種苗法とは?
1.種苗法とは
簡単にいうと、
・今までにない新しい品種を開発した場合に、その品種の開発者は種苗法に基づき品種登録を受けることができます。
・登録品種は、一定期間に限り保護されます。
というものです。
2.品種の開発~登録
品種の開発~登録までの流れは、ざっくりと以下のとおりです。
(1)品種の開発・育成
↓
(2)農水省に出願
↓
(3)品種登録
→「登録品種」となり、「育成者権」が発生する(原則25年、果樹等は30年)
①登録品種を独占的に利用する権利が発生します(種苗を生産・販売したり、農協や種苗会社に利用許諾したりできます)
②正当な権原なく事業として利用する者に対し、その利用を排除できる権利も発生します(差止めを請求したり、損害賠償を請求したりできます)
③原則25年で消滅します(「一般品種」となり、誰でも自由に使うことができます)
(特許は20年ですが、特許権に近いですね)
3.イチゴの「さぬき姫」だと?
具体例でみてみます。
わが故郷・香川県の代表的登録品種であるイチゴの「さぬき姫」。
丸みがあって、見た目がとても可愛らしい、スーパーでもよく目にするイチゴです。
農水省の「品種登録ホームページ」で検索すると・・・。
登録品種の名称:さぬき姫
登録年月日:2009/02/24
育成者権の存続期間:25年
品種登録者:香川県
などの情報が公表されています。
特許とは異なり、都道府県が一定開発し、出願しているのが特徴的です(2018年出願件数ベースで全体の約10%)。
1997年に「三木2号」を育成し、1999年に交配を行い・・・といわれていますので、品種登録まで約12年かかっていることになります(大変なご努力です)。
以上が、現行法の説明です。
では、現行法にどんな課題があったのか。第2回に続きます。