区分所有法制の改正に関する中間試案
区分所有建物(マンション等)の再生の円滑化を図る方策①~賃借権の消滅制度
≪現行法≫
建替え決議は、専有部分の賃貸借には何らの影響を及ぼさない。
賃借人が合意解除に応じるか、解約申入れ等の「正当事由」(借地借家法28条)が認められない限り、賃借人を排除できない。
→賃借人の協力がなければ建替事業が進まないので、大きな弊害。
(建替事業の妨害に利用されるケースもある。やり方は言えない。)
≪中間試案≫
建替え決議がされた場合、賃借権を消滅させることができる制度の導入
【A案】建替え決議において、取壊しの工事の着手時期の目安、専有部分の賃貸借の終了日を定め、この終了日に賃貸借が終了する。
【B案】建替え決議があったときは、各区分所有者が指定した人又は賃貸人は、賃借人に対し、賃借権消滅請求ができ、この請求から一定期間経過後に、賃借権は消滅する。消滅したときは、賃借人は補償金を請求できる。賃貸人以外が補償金の支払をしたときは、賃貸人に対して求償権を有する。
<雑感>
【A案】は、補償金の支払の必要がない制度(※必要とする考え方もある)となり、使いやすそうだが、ドラスティックな改正なので、果たしてこのまま実現できるか。
【B案】は、「正当な補償」がいくらなのかで揉める可能性があるので、補償基準を設ける必要がある。補償金の支払いと賃借人の明渡しが同時履行になると、使いにくい制度になる懸念がある。