弁護士藤村慎也

弁護士/中小企業診断士/農・林・水・畜産に興味あります(ときたま最新法・試験対策)

アグリビジネス(農業)×法務:労務③(農作業と事故)

農作業では,トラクター等の農業機械の使用に伴う危険や,農作業そのものの危険が伴います。

1.統計
農林水産省平成31年1月に公表した資料によれば,平成29年中の農作業事故死亡者数は304人であり,その内訳は以下のとおりです。

農業機械作業 211人(69.4%)

農業用施設作業 13人(4.3%)

その他の作業 80人(26.3%)

また,同資料によれば,過去10年の死亡者数の推移は以下のとおりであり,減少傾向ではあるものの,ほぼ横ばいといってよい状況です。

H20 374人

H21 408

H22 398

H23 366

H24 350

H25 350

H26 350

H27 338

H28 312

H29 304

 

2.法令・指針
労働安全衛生法は,事業者に対し,
・労働者の危険防止措置(機器等の危険防止)
・機器等および危険物・有害物に関する規制
・労働者に対する安全衛生教育
・健康の保持増進のための措置(有害業務を実施するときの作業環境測定や健康診断等)
を義務付けています。農業経営者(個人,法人を問わない)も,「労働者を使用」している場合には,「事業者」に該当しますので,労働安全衛生法が適用されることとなります。


そして,農業分野に特化した指針として,「農作業安全のための指針」(平成30年1月,農林水産省生産局)が公表されています。
農業経営者が農作業の安全対策を実施する場合,まずは上記指針を履践していくのが良いと思われます。