弁護士藤村慎也

弁護士/中小企業診断士/農・林・水・畜産に興味あります(ときたま最新法・試験対策)

事業承継:個人版事業承継税制

017年10月,経産省より,中小企業・小規模事業者の事業承継に関する現状を放置すると,中小企業廃業の急増により,2025年頃までの10年間累計で約650万人の雇用,約22兆円のGDPが失われる可能性があるとの衝撃的な試算が公表された。

それだけ,中小企業・小規模事業者における事業承継は,国全体にとって喫緊の課題ということである。

事業承継対策の一環として,2019年4月から,個人事業者向け事業承継税制が施行されている。

 

法人向け事業承継税制が創設されたのが,2009年4月。

2018年度税制改正で,適用期間を2027年12月31日までに限定した特例措置が設けられるなど,法人向け事業承継税制が抜本的に拡充された。

2019年度税制改正においては,個人事業者の事業承継を促すため,個人版事業承継税制が創設され,2019年4月1日に施行された。2019年1月1日から2028年12月31日までの10年間に限定した事業承継について適用される。具体的には,経営承継円滑化法に基づく認定と,5年以内に承継計画を提出すること等を要件として,先代の事業者から,事業用資産(一定の土地,建物,機械・器具備品等)を承継するにあたって,贈与税相続税の納税が100%猶予される制度である。

例えば,酪農家の場合,土地・建物,乳牛,搾乳機器等の事業用資産の承継が,個人版事業承継税制の適用対象となり得るとされている。

 

事業承継=相続税等の節税と認識している経営者も少なくない。一面として間違いではないが,節税は事業承継の一要素であるという認識も必要である。

今後,弁護士から見た事業承継についても記載していく予定である。